自動運転の未来を共に創る ー NTTデータMSE × ティアフォーの技術と社会実装をつなぐ共創パートナーシップ
目次
組込ソフトウェア開発会社として出発し、”ものづくりDNA”を持つ株式会社NTTデータMSE。顧客との共創を軸に、社会課題の解決に挑む同社は、「自動運転」にも注力している。
一方、株式会社ティアフォーは自動運転用オープンソースソフトウェア「Autoware」の開発を主導するディープテック企業として、自動運転の社会実装を推進。「Autoware」が生み出すエコシステムを通じて、世界各地のパートナーと協力して自動運転システムの可能性を拡大している。
本記事では、両社の協業を牽引するキーパーソン─渡辺 篤史氏(NTTデータMSE)と多米 真莉子氏(ティアフォー)へのインタビューを通じて、協業の背景、実証の現場、そして未来への展望を紐解いた。
インタビュイープロフィール

株式会社ティアフォー
Autoware Scaling事業推進部
多米 真莉子(ため・まりこ)氏

株式会社NTTデータMSE
経営企画本部 事業戦略部
シニアスペシャリスト
渡辺 篤史(わたなべ・あつし)氏
――自己紹介と、両社の協業におけるお二人の役割を教えてください。
渡辺氏:NTTデータMSEの渡辺と申します。弊社の強みと他社の強みを組み合わせて、新しい事業を創出する活動を推進しています。このミッションを実現するため、経営企画本部と現場の事業本部を兼務しており、トップダウン・ボトムアップの両面で取り組みを推進しています。
弊社の自動運転ビジネスは、主に現場である開発・営業部門が中心となって推進しています。そのなかで私はこの技術を全社戦略へ組み込むとともに、ティアフォーさまとのアライアンスを推進する役割を担っています。
多米氏:ティアフォーの多米です。世界中で活用されているオープンソースの自動運転ソフトウェア「Autoware」のエコシステムを拡大する、というミッションを持つ Autoware Scaling事業推進部をリードしています。具体的には、企業さまや研究機関などと一緒にどのように「Autoware」を活用して新たなソリューションが開発できるかを、ともに模索する役割を担っています。
NTTデータMSEさんとは、NTTデータMSEさんがお持ちのソリューションを「Autoware」と組み合わせて事業を拡大するサポートをしています。
NTTデータMSE――”ものづくりDNA”を持つ共創型ソフトウェア企業
―――株式会社NTTデータMSEがどのような企業か、教えてください。
渡辺氏:弊社はもともとパナソニックグループのソフトウェア開発の会社として設立され、携帯電話などの組込ソフトウェア(※1)や通信システムの開発を手がけてきました。2008年に株式会社NTTデータが資本参画したことで、クラウド領域も手がけるようになり、組込分野からクラウドまでの比較的幅広い領域をカバーできるソフトウェア開発会社に成長してきました。
2016年に株式会社デンソーが資本参画したことで、車載ソフトウェア分野への事業展開が加速しました。現在はそれに加え、SDV(※2)や自動運転技術にも注力し、社会課題の解決に貢献する新規事業の創出に取り組んでいます。
我々の最大の強みは、お客さまとともに製品を創り上げる共創スタンスです。お客さまの視点でゼロベースから最適な開発を考え、ご提案しています。このお客さまとの二人三脚による製品・サービス創造こそが、我々の提供価値だと考えています。
※1 組込ソフトウェア:特定の機器やシステムに組み込まれ、その制御や動作を担うソフトウェアを指す
※2 SDV (Software Defined Vehicle):「ソフトウェア定義車両」のこと。ソフトウェアで車の機能をアップデートし、機能追加や性能向上が望める自動車を指す
―――今回のテーマである自動運転分野への取り組みは、いつから始まったのでしょうか?
渡辺氏:NTTデータMSEでは、2030年前後に自動運転領域の技術が成熟し、持続的な事業が生まれ、市場が拡大していくと見込んでいます。私たちはこのマイルストーンのなかで、新たな技術と自社のビジネスポジションを構築することを目指しています。
取り組み始めた2023年当初、私たちにとって自動運転領域は新事業として「可能性のある1つの領域」でした。ここを単独で戦うのは困難だったため、業界のリーダーとのつながりを模索していたんです。そのなかで、ティアフォーさんとの開発パートナーシップの機会を得て、今の取り組みに至っています。
―――新事業として「可能性のある領域」と仰いました。なぜ自動運転領域が御社の新事業として目を付けられたのでしょう?
渡辺氏:自動運転領域の基盤となる技術は、2015~16年ごろから蓄積してきました。名古屋大学との産学連携で取り組んだダイナミックマップ(※3)コンソーシアムへの参画を通じて、要素技術に関する知見を少しずつ積み重ねてきた結果が現在の自動運転技術につながっています。
2020年前後から自動運転に関する取り組みが活性化するなかで、我々が手がける関連案件も増え、全社レベルで取り組むべき重点テーマとして位置付けたいと考えるようになりました。これが現在までの流れです。
※3ダイナミックマップ:高精度3次元地図に、車両やさまざまな交通情報を付加したデータベース的マップ。自動運転の実現において不可欠な基盤インフラの1つ
ティアフォーが描く”自動運転の民主化”――オープンソースによるエコシステム構想
―――株式会社ティアフォーが展開する事業について教えてください。
多米氏:ティアフォーは、「自動運転の民主化」をビジョンに掲げています。オープンソース自動運転ソフトウェア「Autoware」を活用し、自動運転を社会に届けることを目指しています。
ティアフォーはスタートアップ企業であり、単独で自動運転の市場を切り開くのは非常に難しいことです。そのため、我々は「Autoware」を起点に仲間を増やし、ともに自動運転の社会実装を実現したい、と考えています。
たとえば、自動運転を導入するために車両が必要なお客さまには自動運転車両をモビリティサービスとして提供し、自社で開発したいお客さまには開発プラットフォームを提供しています。また、前段階で自動運転技術のスキルを身に付けたいお客さまに対しては、「TIER Ⅳ Autoware Partner Program」と呼ばれる技術トレーニングを通して技術取得をサポートしています。
―――改めて「Autoware」とは何か、教えてください。
多米氏:「Autoware」は、フルスタックの自動運転用のオープンソースソフトウェアです。弊社代表取締役CEOであり、創設者の加藤真平(かとう・しんぺい)が名古屋大学准教授時代に開発し、2015年にオープンソースとして公開しました。
以降は、2018年に設立された自動運転技術の業界標準を目指す国際業界団体「The Autoware Foundation(オートウェアファウンデーション)」のなかで、世界中の技術者が開発に貢献しているソフトウェアです。現在は弊社もその一員として「Autoware」の拡張と改善に注力しており、それを活用した自動運転車両の開発を手がけています。
―――「TIER IV Autoware Partner Program」についても、お聞きしたいです。
多米氏:「TIER IV Autoware Partner Program」は、自動運転の社会実装に取り組むパートナー企業に対して弊社が提供する、「Autoware」を活用したシステム設計や実装、開発プロセスなどのスキルを習得できる研修や教育講座です。
「Autoware」はオープンソースなのでどなたにも使っていただけるのですが、社会実装を目指すには、品質面やユースケースに応じた機能開発など、各企業が自主的に追加開発する必要があります。そこで、ティアフォーがこれまでに培ってきた知見をパートナー企業と共有し、お客さまの技術向上を支援する目的で、この研修・教育教材を開発しました。
名刺交換〜協業開始まで「半年」のスピード感
―――両社はどのような経緯でパートナーシップを結ぶことになったのでしょうか?
渡辺氏:2023年4月に弊社が「The Autoware Foundation」に加盟したのが始まりです。当時は自動運転業界についての理解を深め、NTTデータMSEの取り組みを広く認知してもらおうというモチベーションで参加しました。
具体的にティアフォーさんとのコミュニケーションが始まったのは、同年6月の団体主催のリアルイベント「Autoware Meetup in Japan」での出会いからです。
多米氏:そうですね。そこで名刺交換させていただき、我々もちょうど「TIER IV Autoware Partner Program」立ち上げのタイミングだったので「ぜひ」とお声かけさせていただいたのが最初でした。
渡辺氏:我々のモチベーションとも合致していたので、ご提案を前向きに捉えていました。そんななか、2024年1月にラスベガスで開催される、世界最大級のテクノロジー見本市「CES: Consumer Electronics Show」にティアフォーさんが出展されるという情報を得ました。
このような機会においては、トップを巻き込むことが非常に重要だと思っています。そこで、弊社の社長に相談し、展示会のブース見学とティアフォーの加藤CEOとの面談のアポイントを取りました。経営陣を早期に巻き込み、社内の取り組みを加速させたかったからです。
多米氏:私たちももともと「CES」に行く予定があり、急遽打ち合わせを設定させていただきました。そんな流れで弊社展示ブースでのトップ同士の面談が実現したんですよね。先ほどお話ししたように、NTTデータMSEさんのトレーニングが2024年の6月から開始したので、ものの半年ほどで急速に進展した形になりました。
渡辺氏:弊社が次年度の計画を立てているタイミングだったので、ティアフォーの加藤CEOと弊社の経営幹部が直接的な対話を通じて、トップから理解・支援いただけたことが、その後の取り組みがスムーズに進んだ成功要因だと考えています。やはり、トップ同士でのコミュニケーションは、なんらかの化学反応があると改めて感じました。
第1号パートナー企業としての挑戦――2カ月で駆け抜けた学習プログラム
―――それからNTTデータMSEさんで、実際に「TIER IV Autoware Partner Program」を受講されています。
渡辺氏:2024年7月から8月にかけて、全社からメンバーを募り、約15名で受講しました。参加者は主にエンジニアでしたが、マネージャークラスも私を含めて2~3名が参加しました。将来的にこの技術をどのように活用していくかを考える意味で、マネージャーも知っておく必要があると考えたからです。
できるだけ早く研修後のフェーズを立ち上げたかったこともあり、駆け抜けるように進みましたが、濃密で充実していました。
多米氏:プログラムには、大きく3つのコースがあります。1つ目は「Autoware」の基礎的な知見を身につける講座で、オンライン環境の中で「Autoware」のアーキテクチャを一からしっかり理解いただく内容となっています。
2つ目は「Autoware」の車両への搭載を一通りハンズオンで体験する「Autowareインテグレーション実践講座」、3つ目は自動運転の開発・運用に必要なDevOps(※4)の知見を学ぶ「DevOpsプラットフォーム実践講座」です。
「DevOpsプラットフォーム実践講座」では、特定のユースケース向けに開発したソフトウェアをテストするためのシナリオ作成や、シミュレーションでの実行、必要な地図の作成、データ収集・管理といった内容を学んでもらいました。
「TIER IV Autoware Partner Program」は、1つ目の基礎講座は40時間程度を想定していていますが、その後の2講座は皆さん通常業務と並行して進められることが多く、概ね2カ月ほどで修了されることが多いですね。
渡辺氏:私自身、「Autoware」のDevOps環境に、直接触れる貴重な機会となりました。これまでのソフトウェア開発のプロセスと自動運転領域で必要な内容は必ずしも同じではありません。自動運転ではシナリオ作成やセンサーデータの準備といった特有の要素が含まれており、それらを効率的に進めるためのツールが用意されていました。
シミュレーションでは、走行環境を再現する作業が重要です。「Autoware」のDevOps環境では、どのような車両を、どの場所、どの道路条件で走らせるかなど、さまざまなデータを呼び出して実験することができます。実際に車両を走らせた結果や、自動運転のロジックを変更した際の動きの変化を確認できる仕組みが整っていました。
多米氏:弊社が提供する自動運転開発に特化したDevOps環境「Web.Auto」上でシミュレーション環境をいくつか用意しているのですが、実験内容や用途によって使うシミュレーターが異なっており、シミュレーションに必要なデータの準備方法やシミュレーターの使い分けなども、「DevOpsプラットフォーム実践講座」で学べる内容になっています。
加えて「Autowareインテグレーション実践講座」で、センサーやAI、制御システムや通信技術など複数の要素技術を組み合わせて自動運転システムを構築・実装する方法を学び、これら2要素がそろって自動運転が実現します。
渡辺氏:改めて実践的な学びになったと感じます。とくにティアフォーさんがどのように自動運転車両を開発しているかを体系的に学べたのが大きな成果でした。また、我々自身が独自の技術や商品・サービスを開発するにあたって大切にすべきことや強みにどのように向き合うべきかを考える機会にもなりました。この領域における弊社の強みが今後の製品・サービスの社会実装に貢献できると手ごたえを感じました。
※4 DevOps:「開発(Development)」と「運用(Operations)」を組み合わせた造語。ソフトウェア開発と運用を連携させて効率的で迅速な開発とデリバリーを実現するための手法
―――そこで見つけられたNTTデータMSEさんの強みとは、何だったのでしょう?
渡辺氏:理論と実践の橋渡しができる体制が社内に整っていることを、このタイミングで改めて確認できました。「TIER IV Autoware Partner Program」で学んだ知識を、実際の開発現場でどのように活かすかについては、すでに経験を積んでいるメンバーがいました。これにより、社内に自動運転領域で知見が溜まってきていることが実感できましたし、実践的な知見を社内で共有する仕組みも見えてきました。
自動運転レベル4の実現に挑戦――両社の共創の現在地
―――そもそも2025年の日本における自動運転の現在地は、どこにあるのでしょうか。
多米氏:日本では、ドライバー不足などの課題に対応するため、政府主導で2025年までに50カ所、2027年までに100カ所で自動運転移動サービスの導入を目標として掲げ、自動運転の社会実装を進めています。ティアフォーでは2024年、長野県塩尻市の一般道において運転者を必要としない自動運転システム「レベル4:自動運転車(限定領域)」の認可を取得しました(※5)。このような取り組みを通して、ドライバーの介在なく、システムの自律的な自動運転が可能なレベル4の実装を目指しています。
※5 参考:国土交通省『官民ITS構想・ロードマップ』
日本における自動運転車実用化の方針については、デジタル庁が掲げる『官民ITS構想・ロードマップ』で、ITS(Intelligent Transport Systemsの略称で高度道路交通システムの意味)・自動運転にかかわる政府全体の戦略が示されている。
自動運転技術は、国土交通省や米国自動車技術者協会(SAE)によって自動運転レベルをレベル0〜5までの6段階が設定されている。日本では2023年に「レベル3:条件付き自動運転車(限定領域)」を達成しており、システムからの要請があった場合はドライバーが運転に戻ることを前提に、決められた条件下ですべての運転操作の自動化が実現した。
―――なるほど。そのなかでNTTデータMSE・ティアフォーの2社間では、どのような取り組みが進行しているのでしょうか?
多米氏:まさに、レベル4の自動運転車両を日本全国に実装していくための実証を重ねています。2024年度も全国で実証実験がありましたが、そのうち多くの場所で弊社がなんらかの形で関わらせていただきました。
渡辺氏:そのいくつかをNTTデータMSEもご一緒しています。自動運転技術には「Autoware」を活用し、我々はこれを社会で実用化するためのシステム構築と運用支援を担っています。
主に2つの領域に取り組んでいます。1つ目としては、(自動運転車両を利用する際に必要な)利用者向けの車両予約システムや、事業者向けの情報収集ダッシュボードなど、自動運転車両を社会で運用するための周辺システム開発です。また、それらを既存の交通や決済システムと連携させるインテグレーション業務も行っています。自動運転は車両だけでは成り立たないため、こうした周辺システムの構築が不可欠です。
もう1つは、実証実験のセットアップや運用など、社会実装のための非開発系業務です。ティアフォーさんの車両パッケージを実際に走らせる場所でチューニングやカスタム、セッティングを行い、実証実験の現地運用をサポートしています。実証実験の場所は全国各地にあり、我々のようなティアフォーさんのパートナー企業が各地で実証を進めています。
―――実証実験の具体的なプロセスも、少しだけ教えていただけますか?
多米氏:まず、どこでどのサービスを提供したいかから設計し、自動運転システムが安全に作動できる走行環境や運用方法の条件を定義します。その設計に合わせて車両やセンサー、場合によってはインフラと連携する車外のシステムが必要となるため、それらのインテグレーションやセットアップを行います。
その後は、思惑通り車両が走るかを繰り返しテストし、期待する性能要件や安全面の基準をクリアできるかをテストしていくというプロセスに入ります。その際、いきなり実車を投入して実験するというよりは、まず先ほど出てきたシミュレーター上、いわゆるデジタルの世界で検証したうえで現実世界でのテストに移ります。
「現実世界」での最終的な実証は、1〜2週間程度と短期間なものも多いんですよね。なので、その期間できちんと成果を出せるよう、地図やシナリオを作って、シミュレーション上で動かしてリスクを洗い出すところまでは事前にしっかり仕込んでおくことが大切です。
―――繰り返しの実証で発生するエラーには、どのようなものがあるのでしょう?
渡辺氏:たとえば、まっすぐ進むべきところで何かを検知して急ブレーキがかかってしまったり、障害物を避けた結果、反対車線にはみ出しそうになったりと、さまざまなエラーが発生します。だからこそ、安全を確保するために、日本各地のさまざまな条件の場所で実証を繰り返し、データが足りない、ロジックが不足しているなどの問題を試行錯誤しながら解決し、安全面・性能面ともにラインをクリアできるようにテストしています。
また、サービス面の確認も行っています。テスターに乗車してもらい、体験の満足度データを収集する取り組みも進めています。
多米氏:こういった実証実験を一緒に進めるなかで改めて感じていますが、すでに自動運転領域で知見を積み重ねてこられ、弊社トレーニングを通して「Autoware」の全体像を理解され、さらに現場のこともよくわかっている皆さんに実証に参加いただけるのは本当に心強く思っています。我々からは大枠で要件をお伝えする場面もあるのですが、NTTデータMSEの皆さんが要件をより明確に落とし込み、言語化してくださるので、助けられていますね。
実証実験は自動運転車両を公道で走らせる緊張感があり、限られた予算内でやりきるミッションもあります。お互いに理解し合えるパートナーシップのなかで一緒に取り組めるので、弊社のメンバーも非常に安心して臨めています。
持続可能な自動運転ビジネスの模索――両社が描く社会実装の未来
―――NTTデータMSEとしては、「Autoware」を活用した自動運転実用化に向けた取り組みにおいて、今後どのような展開を考えていますか?
渡辺氏:現在、NTTデータMSEとして、自動運転の実用化に向けてさまざまな企業のインテグレーションをサポートしています。中長期的には、「サポート」から「実証の主体」へと進化し、さまざまな企業との共創を目指しています。ティアフォーさんとも、さらにたくさんの事例を創っていきたいです。
とくに、NTTおよびNTTデータが進める次世代モビリティプラットフォームにおいて、ティアフォーさんのプラットフォームを活用したビジネス機会があると信じています。この取り組みをグループ全体の動きにするために、親会社や経営層を巻き込んだ取り組みに昇華させていきたいと思います。
―――改めて、両社がお互いにとってどのような存在だと考えていますか?
渡辺氏:ティアフォーさんは汎用的な自動運転技術基盤という意味で、国内外でのトップランナーの一社だと思っています。弊社が新たなビジネス領域に取り組む際、業界トップクラスの企業と協業できることは非常に価値があります。技術的な優位性はもちろんですが、それ以上に、社員や会社にとっての意義が大切です。未来の社会実装に直接関わることで、社内のエンゲージメント向上につながるでしょう。
多米氏:現在「TIER IV Autoware Partner Program」は弊社からの情報提供が中心ですが、真の目標は自動運転のエコシステム拡大です。
第1段階として技術移転を行い、NTTデータMSEさんにはその第1号パートナーとして参加いただきました。現在は第2段階として、弊社のプロジェクトや実証でインテグレーションや実プロジェクトの経験を積んでいただいています。このように、段階的に関係を発展させています。
その先にある第3段階では、NTTデータMSEさんが「Autoware」を活用して独自の事業開発・展開を進める際に、弊社がプラットフォーム提供者として支えられるような関係性を構築していきたいと考えています。双方の成長を通じて、自動運転市場全体のエコシステム拡大と活性化に貢献するのが我々の目標です。
―――最後に、自動運転の社会実装に向けての展望を教えてください。
多米氏:自動運転の社会実装を実現するためには、多くの仲間が必要です。パートナー企業とともに取り組むことで、自動運転がはじめて社会に届けられると考えています。これからも、ともに未来を創っていく仲間を増やしていければと思います。
渡辺氏:自動運転技術は必ず実現すると考えていますが、持続可能なビジネスとして成立させることが重要であり、現在業界全体がチャレンジしている課題です。私たちは、技術面で自動運転の社会実装に貢献しつつ、健全なビジネスモデルをさまざまなプレイヤーとともに模索・構築していきます。
株式会社ティアフォー
https://tier4.jp/
TIER IV Autoware Partner Program
https://services.tier4.jp/tier-iv-autoware-partner-program
※所属組織および取材内容は2025年7月時点の情報です。