NTTデータMSEの新規事業開発支援は、圧倒的な当事者意識で
お客様の事業開発に伴走する

2020年4月に設立したNTTデータMSEの新規事業開発支援専門組織「+Nextデザイン室」。

携帯電話やカーナビゲーション、スマホアプリやVR/ARアプリなど一般生活者向けの製品・サービスに関する数多くの開発経験を通じて培ってきたエンジニアリング力に、サービスデザインとマーケティングの組織能力を+(プラス)。お客様企業にとっての開発パートナーから事業パートナーへ進化すべく、新規事業アイデアの創出からシステム開発、事業拡大まで一気通貫でお客様企業に伴走支援している。

この+Nextデザイン室の立ち上げメンバーである室長・加藤 裕範と佐藤 純平に、立ち上げまでの経緯や事例などのエピソード、新規事業開発に関する考え方について聞いた。

話者プロフィール

株式会社NTTデータMSE
第二デジタルビジネス事業本部 +Nextデザイン室 室長
イノベーションデザイン室 室長 加藤 裕範

2001年、入社。ソフトウェアエンジニアとしてキャリアをスタート。2012年より自社プロダクトの企画及び営業に携わる。2014年にはNTTデータへ出向し、電力会社向けの新規開拓・企画営業を担当。2016年に自社へ戻ると、通信事業者向けのアカウント営業担当及びマネジメントを経て、2020年に+Nextデザイン室を立ち上げ、現在に至る。

株式会社NTTデータMSE
第二デジタルビジネス事業本部 +Nextデザイン室 課長
佐藤 純平

2010年、入社。ソフトウェアエンジニアとして国内初の4G通信チップ開発に携わった後、通信事業者向けのビッグデータ分析基盤開発、利用ユーザ数100万人を超えるポイント投資サービス開発などに従事。2020年の+Nextデザイン室立ち上げメンバーとして参画、現在に至る。

NTTデータMSEのポジションを、開発パートナーから「事業パートナー」へ

+Nextデザイン室創設のきっかけは、当時第二デジタルビジネス事業本部長と加藤が立ち上げたワーキンググループにあるという。

そこでは主に既存顧客・既存案件をどう拡大させていくか、新規顧客・新規案件をどう開拓していくかがテーマに据えられた。+Nextワーキングでは新規顧客・新規案件の開拓について検討、サービスデザインのメソッドをコアコンピタンスとしたデザイン組織を作るという結論となり、2020年4月に加藤と佐藤の2人により+Nextデザイン室がスタートした。

「NTTデータMSEは、システムインテグレータとして『お客様から依頼されたシステムを、品質・コスト・納期を守って開発できる』ことから、現在多くのお客様の『開発パートナー』となることができました。ただ、競争が激化し、技術も進歩していく中で、これからはもう一歩踏み込んでお客様の『事業パートナー』のポジションを確立したい。そこで、お客様と共にビジネスそのものを生み出していく、そのビジネスを成長させていくところまで、自分たちのものづくりの領域を拡張しようと考えたわけです」(加藤)

立ち上げの相棒となった佐藤とはそれまで直接的な上司・部下の関係にはなかったが、佐藤が入社した頃から社内のサッカー部で交流するなどして「フットワークが軽く、何にでもトライしてみる」キャラクターを把握していたことが、抜擢の理由となった。

「恐る恐る着任したようなところはありました。なにせ『何をやるか決めるところから』ですから、厳しかったですね。そこで『知見を持つ方に教えを乞い、自分たちの強みを作っていく』アプローチをとっていきました。NTTデータグループの中で知見がある会社と組んだり、東京藝術大学 美術学部 デザイン科の山﨑 宣由 教授や、九州大学大学院芸術工学研究院 徳久 悟 准教授に自分たちのやりたいことをお伝えして、『ご指導いただけないか』とお願いしたり……」(佐藤)

そうするうち、新しいお客様や新しい案件を獲得、キャリア採用や社内公募を中心にメンバーが増え、現在は20名ほどの組織になっているという。

新規事業を開発していくなかで、時には「諦める」判断に伴走することも

+Nextデザイン室創設から2年経とうかという頃、世間はコロナ禍の只中にあった。外出の機会を奪われたことから心身が弱り、要介護予備軍と言われる「フレイル」状態に陥るシニア層の増加が社会課題となっていた。

そんな折、+Nextデザイン室は「この状況をデジタル技術で解決できないか」と考えたとある企業の新規事業開発に携わる。そして「オンラインでシニア層向けのパーソナルトレーニングサービスを提供する」というお客様企業の事業アイデアを受けとり、マーケットにフィットさせるべく、MSEが主体となって事業検証と改善を繰り返した。

「我々はフルスタックでものが作れますので、とにかく素早く環境を構築して、事業性を検証していこうと考えました。ただ、仕組み作りはエンジニアリングでなんとかなりますが、トレーニングをするには、シニアの体力作りに知見を持つトレーナーも必要です。そこで、スポーツジムや講師派遣をしている企業を訪ねて、このサービスのコンセプトを説明し、協力のお願いをするといったこともやりまして。『新規事業を作るというのは、こういうことか』と実感しましたね」(佐藤)

しかし、残念ながらこのサービスは「思っていたほど売れなかった」と佐藤は言う。そもそもデジタルツールを受け付けないシニア層、自治体の費用補助などにより低価格で利用できる体操教室やスポーツジムとの競合……プロジェクト開始前に伺っていた想定とは異なる状況を前に、サービス自体のピボットも試みた。

ターゲットを40~50代のミドル層まで下げる、個人向けから法人向けに練り直し健康経営の需要を狙う、AI活用で講師費用を抑える……2年近くにわたって試行錯誤を繰り返したものの、最終的には事業化を断念することになった。

「諦めることは難しいですよね。お客様は自分たちの意思で始めたことだから、そう簡単にはやめられない。私たちのようにサポートする側も、一生懸命やってきて思い入れもあるし、『諦めましょう』と言ってお客様を落胆させるのはためらわれる。

ただ、私たちは諦める観点や基準を非常に細かく切り分けていて、諦め方自体が一定の方法論になっているので、それを提供しながらお客様と一緒に諦めることも、自分たちの仕事だと考えています。ダメだったらすぐ諦めて切り捨てるのではなく、ピボットしながらいろいろ試してみて、どうしてもダメだったら諦める。だから、お客様は諦めるとなっても『ありがとう』と言ってくださいます」(加藤)

一方、この先が楽しみなプロジェクトも進んでいるという。とある企業では、初年に3か月かけてサービスデザインのトレーニングを行い、翌年からは、+Nextデザイン室に伴走支援を受けながら新規事業開発を実践している。

「近々テストマーケティングまで進められそうな、楽しみなアイデアがいくつか出てきているのですが、なにせ新規事業のアイデアなので、ここでは具体的にお話しできないんですよ(苦笑)」(佐藤)

「このお客様とはビジョンデザインから取り組んで、マーケティング・テクノロジー・デザインのトレーニングを行い、さらに新規事業開発の実践にも伴走してきました。お客様企業のプロジェクトメンバーが、現在はお客様社内のトレーナーとして、新規事業への取り組み方をレクチャーされているそうです。我々が5~6年かけて積み上げてきたメソッドが全社的に根付きつつあるのを感じますね」(加藤)

「3つのつまずきポイント」をお客様と共に乗り越えていく

テクノロジーが加速度的に変化し、ビジネスも日々変容する現代。一生安泰と言える事業はほとんどなく、業界・業種を問わず多くの企業が新規事業開発に何年も前から取り組んでいるはずだ。そしてこれまで幾多のプロジェクトに参画する中で、お客様企業の新規事業開発によくある課題が見えてきたと加藤は言う。

「例えば『明確なビジョンを持たずに始めてしまう』。なぜ新規事業に取り組むのか、この新規事業で何を目指すのかを会社として定めておかないと、せっかく社員がビジネスのアイデアを出してきても、「なぜこの事業に自社がチャレンジするのか?」という議論になってしまい、入口から前へ進まなくなってしまったりする。

そして『顧客理解を徹底していない』。徹底的な観察や対話を通じてユーザの1次情報を集め、事実に基づいて解像度高くユーザ像を明らかにしていないと、自分たちの持っている技術ややりたいことが先立ち、いわゆる『売りたいもの』を事業化して、押し付けてしまいがちになる。

また、『いいアイデアと売れるアイデアは違うことに気づいていない』。ビジョンもある、顧客理解もできている、これなら大丈夫だと意気込んで始めた事業が、蓋を開けてみたらまったく売れない……というケースも正直あります。この前提を踏まえて事業性の検証まで確実に実施することが重要です。+Nextデザイン室では、このような新規事業開発失敗の確率を低減するために、段階的な仮説検証のプロセスを構築し、お客様企業のプロジェクトに伴走しています」(加藤)

+Nextデザイン室の取り組みは、NTTデータMSEの基幹事業から広がったもの

その存在自体が“NTTデータMSEのまったく新しい事業”と見られがちな+Nextデザイン室。ただ、加藤は「創設当初から、NTTデータMSEの基幹事業とかけ離れたことをやっているつもりはなかった」という。

「NTTデータMSEのものづくりのスコープは、長らく『システム開発』にあったわけですが、その一方でお客様にとってのものづくりのスコープは、『アイデアを生み出すところや育てるところ、さらにその周辺』まで含まれています。そこで、+Nextデザイン室がお客様に合わせてものづくりのスコープを広げていこうという話ですので。

おかげさまで事業も組織も安定してきており、今後は+Nextデザイン室のメソッドを第二デジタル事業本部から他の事業部にも展開していき、組織を継続的に拡大させていきたいと考えています」(加藤)

さらに彼らは2025年、新たにイノベーションデザイン室を創設。+Nextデザイン室の取り組みを活かした自社のプロダクト・サービス開発にも取り組み始めている。

「これまで蓄積してきたメソッドを使い、自社のプロダクト・サービスを開発する組織です。社会課題解決と産業課題解決をテーマに、既に15案ほど新規事業のアイデアが出ていまして、すべてを一度に……とはいきませんが、来年までにいずれかひとつはテストマーケティングやプレリリースまで進められればと考えています」(加藤)

 

 

NTTデータMSEの新規事業開発支援

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