若手社員が自ら成長する仕掛けを実現した、
NTTデータMSE独自の育成プログラム「モビシス大学」とは

2020年に発足したNTTデータMSEの若手育成プログラム「モビシス大学」は、若手エンジニアのスキル向上を目指すものだ。実際にプロジェクトを経験しているエンジニアがその知識や経験を若手同士で教え合うことにより、早い段階から実務に直結した知識と技術を習得させていくという特徴的なメソッドを持っている。

このモビシス大学の立ち上げメンバーで、名誉学長を務める加藤 雅和と、現在運営を務める内田 もえ、平野 星也、若山 和樹に、立ち上げの経緯や運営の手応え、今後の展望について聞いた。

【話者プロフィール】

株式会社NTTデータMSE
シニアスペシャリスト 加藤 雅和

1998年、入社。入社前からIT業界に従事し、宇宙FA系、通信、自動車分野などに従事。エンジニアとしてだけでなく、育成リーダーや営業など、豊富な経験を持つ。現在は、デンソービジネスの大規模ソフト開発プロジェクトにおいて、マネジメントやアーキテクト設計のサポートなどを行い、ビジネスを支えている。また、モビシス大学においては、名誉学長“かとまささん”としてマネジメントを行い、若手エンジニアの育成に注力している。

株式会社NTTデータMSE
内田 もえ

2022年、入社。入社以来、モビリティ全体を制御するECUの開発に従事。モビシス大学には、1年目に受講者として参加し、2年目以降は運営として参画。若手メンバーとの交流を通じて、自らのスキルを向上させながら、エンジニアの育成活動に貢献。また、現在はモビシス大学の主査として、全体的な管理も行っている。

※ECU(Electronic Control Unit):自動車の電子制御装置

株式会社NTTデータMSE
平野 星也

2022年、入社。自動車のナビゲーションソフトウェアの開発に従事。スマートフォンと車両をBluetooth接続し、さまざまな機能を統合するプロジェクトに携わる。モビシス大学では受講者としての経験を経て、運営にも携わる。社外のメンバーも巻き込み2024年度に開始した”共創モビシス大学”の初代主査を経て、現在も多くのメンバーを巻き込みながらエンジニアの育成に貢献している。

株式会社NTTデータMSE
若山 和樹

2023年、入社。自動車の自動運転に用いられるカメラシステムの開発を担当。モビシス大学の受講を経て、2025年度より”共創モビシス大学”の主査を受け継ぎ、運営方針など試行錯誤を重ねながら邁進中。

若手同士が自ら教わり教える形で学びを深めていく「モビシス大学」の独自メソッド

「モビシス大学」創設のきっかけは、その名にも含まれる「モビリティシステム開発部」の発足にあるという。ADAS※、自動運転、統合ECUなどの新たなシステムを開発していくチームが立ち上がるにあたり、人材育成が課題となっていた。

※ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems):高度運転支援システム

「モビリティ事業の拡大に伴い、スキルのある人材が必要でした。チーム全体で若手社員をしっかりと育成していかなければいけない。ただ、先輩社員は多忙を極めている。若手社員は自学自習である程度“知る”ことはできるものの、自ら手を動かし作り上げて“体験する”仕掛けがない。それなら、新たな育成プログラムを作るつもりでトライしてみましょう、ということになったんです」(加藤)

 

NTTデータMSEには、「イノベーションタイム」という社内制度があり、社員が仕事の時間を使って、興味があることに自主的に取り組むことができる。そこでこの制度を利用し、モビシス大学がスタートした。加藤の言う「新たな育成プログラム」の核は「若手社員が講師となり、若手社員に教える」メソッドにあった。

 

「講師も教えることで学び直せるといいますか、学びに対する気づきがあるんですね。『どうやってノウハウを伝えようか』と考える時に、自分の中で学んだことを振り返って整理できる。そうすることで学びを定着させていくのが、自学自習ではなかなかできない『身につく』ことであり、重要なポイントだと思っています」(加藤)

 

もちろん教わり、教える経験をしてきた若手社員自身も、このメソッドの効果を実感している。

「入社1年目は年齢の近い先輩が難しい用語を使わずに、自身の言葉で分かりやすく説明してくれたので、学びが定着しやすかったです。逆に2年目に教える側になったことは、自分の知っていることを教えるだけでは足りないと感じ『教えるためにさらに学ぶ』きっかけになりました。若手のうちに『教える立場としての責任を果たそう』という意識が芽生えたことも、とても良い経験だったと感じています」(内田)

上図の育成フローが示すように、モビシス大学では若手同士が互いに学び、教え合うことで、知識の習得にとどまらない、”身につく学び”を実践している。

若手から次の若手へ、さらにひとつの部署から関連部署まで巻き込んで広がる「学部」

現在36講座ほどあるというモビシス大学の講座の中でも、創立当初から毎年継続して開講されているのが、入社2年目の社員が講師、新入社員が受講生となる「モビ大新人フォローアップ」だ。

「新人研修は、開発言語や開発プロセスなど、基礎的な内容が中心なので、実際の現場で必要なレベルとは若干ギャップがあるんです。「モビ大新人フォローアップ」では、新人研修からプロジェクト業務に入るまでの間の橋渡しとして、導入的な内容を学ぶことができて、かなり助かったと感じています」(若山)

 

「新人研修を受けただけでプロジェクトにひょいと放り込まれても、正直『なにをやっているのか大まかに理解できる』程度で、現場で役に立てるまでにはなっていないんですね。そこでもっと現場の実情に即した、車載システムや組込開発にフォーカスを当てたカリキュラムが組まれているのが、「モビ大新人フォローアップ」なんです。

入社3年目の先輩に入社2年目の後輩が“教え方”を教わりつつ、1年目の受講生へ教えるために準備をする……といった形で年々受け継がれているメインコンテンツといってもいい講義です」(内田)

 

ちなみにモビシス大学では、所属部署をもとに”○○学部”と呼ばれるチームを形成し、各部署での困りごとを解決するために、新たな講義(コンテンツ)作りや、既存コンテンツのブラッシュアップなどに日々取り組んでいる。新たに受講生として加わったメンバーは、”学部の先輩”、つまり部署の先輩が過去に受けてきた講義を参考に受講する講義を選ぶ流れが基本になってきたという。

「ただ、徐々に”学部”も広がってきているんです。例えば私の所属部署(名古屋)のメンバーは、札幌の事業部メンバーと共にプロジェクトを推進しているので、プロジェクト内で事業部を超えた若手同士のつながりが生まれています。共通の技術的な課題に対してアプローチしたいということで、うちの”学部”に札幌のメンバーも誘い、さらに札幌の新入社員にも入ってもらって……という輪が広がっています。」(内田)

会社の垣根を越えて集まる「共創モビシス大学」が、業務ではなかなかできない経験を積む場に

そして実は、モビシス大学は部署を超えるだけではなく、会社の垣根をも超えて広がっている。2024年度、NTTデータMSEを含む4社の若手メンバーが集まり学ぶ「共創モビシス大学」がスタート。

 

2024年度は平野が主査を務め、組込開発の基礎となるLinuxについて学ぶ活動を実施。2025年度は若山が主査を引き継ぐ形で、自作OSの製作に取り組んでいる。ここで、平野や若山は入社間もない身でありながら、プロジェクト運営の難しさをも体験することになった。

「最初は参加人数も多く勢いもあったのですが、プロジェクト業務や全社の研修との優先順位の判断が難しいというところで壁にぶつかりました。『一緒に頑張ろうぜ』と言いあったメンバーも1人減り、2人減り……残った各社のメンバーで相談し、分担しながら、なんとか初年度をやり切った感じでした。ところが、そこから活動が評価されて、2025年度は2024年度の倍以上の人数が集まった。急に規模が大きくなったので、これもまた前年度にはない苦労があるのではないかと思います」(平野)

 

2024年度末、活動を振り返る会を開くと「もっとこうすれば良くなる」という前向きな意見がいくつも集まった。それを踏まえて、2025年度は運営形式も変えたという。

「もともと各社持ち回りで講義をしていたのですが、講師役には良い経験になる一方、受講者は”聞くだけ”になりがちで、理解が進まないという意見がありました。そこで2025年度は実際に自分たちの手で自作OSを開発し、その中で出た疑問や課題を共有するといった形式に変えたんです。今は、手を動かす時間がなかなか取れないメンバーのフォローなど、前年と形式が違うところを難しいと感じながらも、なんとか進めているところです。」(若山)

 

「プロジェクトマネジメントとまでは言えないものの、若手のうちからチームをまとめて目的に向かって運営していく機会はなかなかないし、こういうトライ&エラーを繰り返せる活動を通じて学ばせてもらえるのはすごく良いことだと思っています」(平野)

共創モビシス大学キックオフの様子

 

今やモビシス大学の取り組みは全社で認知され、メンバーの上司も活動を見守り、プロジェクト業務との兼ね合いを配慮している。ただ加藤によると、あまり過保護にはしない方針なのだという。

 

「時間の作り方や使い方、社内外のメンバーとの協力体制の作り方も、個々人で苦労を体験することで学んでもらいたいんです。失敗することも多々あるだろうけれど、一生懸命やることで評価にもつながる仕掛けになっていますし、がんばり過ぎて調子を崩さないよう周囲も見守っているので、まずはがんばってみてくれよ、と。難なくできることばかりやっていても、成長にはなかなかつながらないと思うので」(加藤)

 

2025年度は社長とモビシス大学メンバーの対話会も催された。社長は運営や学びの大変さもポジティブに捉え、モチベーション高く挑戦する若手メンバーの様子に深く感銘を受けていたという。

「それから社長自身が『こんな良い取り組みがあるんだよ』といろいろな場で発信して、仲間集めをしてくれまして……共創モビシス大学の人数が急に増えたのにはそんな事情もあるんです。メンバーを見守っている管理職からの評価も上々ですよ」(加藤)

知識や技術ばかりではなく、社会人としてあるべき姿勢も身につけられた

今後のモビシス大学はどこへ向かうのか。実は、かなり思い切った構想が膨らみつつあるようだ。

「今までは過去から積み上げられてきた知識を学んできたわけですが、そろそろ未来へ向けて、創り出すこともやってみようかと、2025年はみんなで議論を深めています。新技術や新領域に関するPoC的な活動に取り組む、学びから研究や実験へ展開するという意味で『モビシス大学院』構想と呼んでいます」(加藤)

※PoC(Proof of Concept):新しい技術やアイデアが実現可能か、期待される効果があるかを検証するプロセス

 

「つい最近まで現在の活動を継続させることに全力投球で、やっと今後のモビシス大学に目が向いてきたところなんです。まさに最近、概ね入社3年目以上の、教わる/教える両方の経験を持つメンバーで将来に向けての話をする会を始めました。今年度中には、形にするまでは難しくても、みんなの思いをまとめられればと考えています」(内田)

 

共創モビシス大学のメンバーたちからも、将来へ向けて意欲的な様子が言葉の端々から伝わってきた。

「2025年度に取り組んでいる自作OSは、実際のプロジェクトではなかなか経験できないことですが、いつか自分や仕事に還元されるはずだと考えています。そういう『この場をうまく使って業務ではできないことをやってみよう』という能動的な発想や提案を自分もしていきたいし、メンバーからももっと増えてくれるといいですね」(平野)

 

「せっかく会社を超えて一緒にやっているので、各社の『その会社ならではの知識』を共有するような機会があると、よりいい活動になるのではないかと考えています」(若山)

こうした若手たちのやる気に満ち溢れた受け答えに、彼らを見守り続けてきた加藤は目を細める。

 

「学生のうちは、誰かから価値を提供してもらう側だけでもやっていけるけれど、社会人になると、自ら動いて誰かに価値を提供する側に転換しないといけない。今日の3人の話しから、モビシス大学の活動を通して、しっかり価値を提供する側に転換できていることが感じられて、成長してくれた喜びを噛みしめています。

 

私たちは、これからの時代を切り拓く仲間とともに、新しい価値を生み出していきます。モビシス大学は、挑戦する人を全力で応援し、失敗も成長の糧にできる環境です。困ったときには先輩や仲間がしっかりサポートします。これから入社されるみなさんにも、NTTデータMSEには自分の可能性を広げられる場があることを知っていただき、一緒に新しい一歩を踏み出せる日を楽しみにしています!」(加藤)

 

NTTデータMSE

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